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テニプリの他のキャラソンで、「for Yourself」のように「二人の別離」を歌ったもの…

自分がぱっと思いつくのは「Last Phase」と「たとえば今...」で、この2曲はデュエットソングの性質上、二人が別離に合意しており、別離の目的も示されている。

「Last Phase」——

《今 絶対的な距離から さあ 相対的な距離へ
 未来の姿 未来の姿 思い描いて
 今 決定的な言葉は もう 想像しなくていい
 同じ思いを 同じ思いを 信じて》

《願わなかった形》で始まった関係だから、かつては《絶対的な距離》——心と心の断絶があった。しかし今では、距離は相対的なもの、物理的なものにすぎない。換言すると、心と心は「絶対的な絆」で結ばれている。二人が交互に歌う形で《未来の姿》と《同じ思いを》がそれぞれ二度リフレインされることで、それらが文字通り未来へ進むための《同じ思い》——二人が共有する感情だというメッセージが修辞と音楽の両面から強化される。

(これは完全に余談だけど、この曲の作詞の大部分は増田さんによるもので、しかし「絶対的な距離/相対的な距離」は津田さんが考案され、これらのフレーズが出てきたことから曲の全体像が定まった……と配信でお話しされていて、興味深かった)

「たとえば今...」——

《「逢いたい」と想う人がいる
 弱さじゃない 強くなる為に
 たとえば今、ふたりの背負うものが変わっても
 たとえば今、ふたりの道が二つに別れても
 離れない 永遠に》

こちらはもはや説明不要なほど明白に、やはり「別れても魂は離れない」という相互の紐帯の、もとい愛のポエトリー。逢うために別れる。離れはしない——《絶対に》、《永遠に》。ここでは、別離はむしろ心と心の結びつきを強調する。「会いたい」ではなく《逢いたい》、「思う」ではなく《想う》が意図的に選ばれており、これはもちろんロマンティックな邂逅でもある。

では「for Yourself」はどうか。

《We Go Further Away
 俺もまた“その先”を探し続ける
 去りゆく背を見つめて 誓うよ
 Let Me Set You Free
 それでいい これからは自分の為に
 歩め Living for Yourself》

《We Go Further Away》——曲全体を通して《You Go Further Away》と繰り返されてきたフレーズの人称が、ここで初めてYouからWeに変わる。相手が遠ざかるのではなく、二人が遠ざかる。しかし「together」ではない。《Further Away》は離れていく方向を示すのみであり、二人が同じ方向に離れていくのか、互いから離れていくのか、文法的に確定しない。この不確定性そのものが、関係の形態を示しているとも取れる。共にいるのでも完全に別れるのでもなく、離れていくという運動だけを共有している。

《去りゆく背を見つめて 誓うよ/Let Me Set You Free》——去っていく相手に向かって《誓うよ》と言う。《Let Me Set You Free》がその誓いの内容だとすれば、《去りゆく背》に向かって「君を自由にさせてくれ」と誓っていることになる。これは少し奇妙である。なぜなら、《君》はもう自分の足で去っているのだから。

文字通りに考えれば、相手はすでに自分の意思で去っている。握手を拒否して背を向けて歩いていく。それは少なくとも外形的には、許可を必要としない行為。立ち去ることを自由に選んでいる。

にもかかわらず、その背中に向かって《Let Me Set You Free》と言う。これは、相手が自分で去っていくという事実が、「自由になった」ことを意味しないから。去ることと自由になることは、同じではない。《君》は去った、しかしまだfreeではない。

だから《Let Me Set You Free》は、《去りゆく背》に向かって発せられることによってむしろその本当の意味が露呈する。相手を束縛しているのは、物理的な拘束ではない。物理的には出ていけるのに自由になれないのは、檻が外側にではなく内側にあるからで、その檻の正体が自分自身の存在であることを知っている——だから《Let Me Set You Free》と言う。

《それでいい これからは自分の為に》——「Last Phase」のように同じ思いを拠り所に未来へ進もうとするのでもなく、「たとえば今...」のように永遠に離れない心を感じ合うのでもない。物理的な別れに際して心と心の結びつきを確かめるのではなく、むしろその癒着を解体しようとしている。相手を檻から出すため、《自分の為に》生きてもらうために。

だけど、この誓いは届かない誓い。去りゆく背中に向かって心のうちで発される言葉は、相手に届く回路を持たない。この心と心の距離、想いの一方通行性が、上の2曲と決定的に異なる部分。



この場面、アニメにはなかった《Let Me Set You Free》が入ったことで、屈折が増している。
《それでいい》は自己完結できるけど、《Let Me Set You Free》は相手に応答を求める言葉。だけど相手は去っていき、応答はもらえない。

***

他にソロ曲で「二人の別離」を歌ったものってあるんだろうか。いや私が知らないだけできっと存在してるんだろうけど(なんせ1000曲近くあるわけだし)
「Entrust to the Next」とかも思い浮かんだけど、これは別れというより「魂の継承」だからなぁ
「エピローグ」はさすがにちょっと文脈と事情が違いすぎるし…


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